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トレッキング4日目
Kyanjin Gumba→Bamboo
天候:曇り時々晴れ一時雪

雄大な景色は素晴らしい!けれども、ネットが繋がることやお湯が出るシャワーだって、とっても素晴らしい。
当たり前に享受していた環境が当たり前でないことを実感することは、ここで暮らす人たちの逞しさを知るとともに、自分が豊かさに囲まれていることを知る場でもあった。


「今日は休養日にして、明日山を下りることにしたんだ」
頭が痛いと言っていたオージーの女の子は今朝も体調が思わしくないのだそう。ツォルゴリ登山は止めてシャブルベジまで戻る決断をしたことを聞いたガイドのプラビン君は安心したようだった。

7時半。日程が短い僕らは一足早くシャブルベジに向けて下山開始。今日は長丁場なのでいつもよりも早い出発だ。オージーの二人やラマホテルから一緒の行程だったシンガポール人夫妻にお見送りをしてもらいキャンジンゴンパを後にする。
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大氷河もこれで見納め。この景色を見るために登ってきたんだからと、何回も足を止めては周囲を眺めた。
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高山病の恐れも少ない下りなので、昨日と違って様々なものが視界に入る。ランタンまで頻繁に現れる石積みはマニ石と言うチベット仏教の信仰が体現化したもの。マニ車同様、左側を通るのがお約束だ。
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キャンジンゴンパからランタンまでは地元の人の往来も多く、緩やかで歩きやすい道が続く。息も切れずに足が自然と前に出るので、スピードはどんどん上がっていきます!
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鈴の音を鳴らしながらやってきたヤクの隊列に道を譲る。先頭には人がおらず、最後尾に一人いるのみ。それでもルートを外れず一列に進むヤクは知能が高いのかもしれない。
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山を隔てた裏側はチベット。この地に住んでいる人たちの大半はチベット仏教を信仰しているチベット族の人たちだ。
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キャンジンゴンパから1時間でランタンを通過。昨日泊まった宿の主人に「みんなにもうちの宿を宣伝して」と名刺をもらい、旧ランタン村が埋まる土砂の上を進む。
先には段々状に点在するロッジの屋根。遥か先にはゴラタベラのロッジも小さく見ることができた。
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出発から休憩なしで歩き続けること90分。雲行きが怪しい中、タンシャップのロッジが大きく見えるところまで下りてきた。
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ジッと登山客を見つめるヤク。先ほどすれ違った飼い慣らされたヤクご一行様と違い、単独で上から見下ろされると迫力があって怖い。怒らせないように静々と通過しよう。
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休憩できるロッジまであと少しのところで突如舞い始めた雪。さっき通過したランタンも雲に覆われて見ることができない。キャンジン・ゴンパは吹雪いているかもしれないとガイドのプラビン君は言っていた。
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ノンストップで下りること2時間ちょっとでタンシャップに到着。往路同様、食事のクオリティはここが一番!とのアドバイスを聞いて、ここでお昼も兼ねた長い休憩。ミントティーを飲んでいたら、先ほどの雪が嘘のようなお天気になりました。
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お昼御飯にはあまりにも早いのでフレンチフライのみの軽めの食事。近くで収穫しているジャガイモはホクホクでメッチャクチャ美味しい!
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11時半。タンシャップを出発。ゴラタベラを通過すると樹木が多くなり…
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これでもかと急な下りが続くようになる。足腰に力を入れないと転びそうな勾配は、登っているときのような息切れこそ起きないものの激しく体力を奪っていく。ストックがあって心底ありがたいと思えた瞬間だ。
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木々が生い茂り、視界が悪くなる登山道。オアシスとなるロッジまでの距離も目視できなくなり、モチベーションは急降下。タンシャップからラマホテルまで2時間も要してしまった。
時刻は13時半。今日の目的地としていたバンブーまでは残すところ4.5キロで道程はこれまで以上に下りが続く。足腰が限界近いと踏んだプラビン君から「ここで一泊する?」という甘美なお言葉をいただき逡巡するも、明日は楽をするんだとバンブーまで進むことを決断。
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こんなにプレハブの屋根が恋しいと思えたことなんかない…。
切なる願いが裏切られること数十回。ほとんど足が上がらないほど疲労困憊な状態でバンブーに到着。
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ホットシャワーを浴びたあとは、充てがわれた隙間だらけの部屋でひたすら足をマッサージ。ベッドから1時間以上一歩も動かなかったように思う。
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日が翳り寒くなってきたのでストーブのある食堂に向かうと、数日前に写真を撮り損ねた仔猫がお休みしていました。
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辺りが真っ暗になった18時。登山道からライトの光がチラチラと見え、フランス人の一行が下山してきた。足を踏み外せば一貫の終わりのような登山道を真っ暗な中、ライトだけで下りてきた根性に驚くとともに無理はいけないと自分を戒める。
明日はトレッキング最終日。歩く距離はもちろん高低差も少ないので、お昼前にはシャブルベジに着けるかもしれない。

本日の移動距離、Kyanjin Gumba→Bamboo 17キロ 標高差:3870メートル→1970メートル
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★トレッキングメモ★
・トレッキングルートにはチェックポストがなく、バスでシャブルベジに向かう途中のドゥンチェとシャブルベジのバス乗り場近くに設けられたチェックポスト以外でTIMSやランタン入域許可証の出番はなかった。


チベット密教 (ちくま学芸文庫)
晃, 正木
筑摩書房
2008-05-08