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トレッキング6日目
A.B.C→Sinuwa
天候:晴れ

貸し切りの部屋の中。
5日間かけて登ってきたのに、カーテンを閉めてベッドに横たわっていると、ヒマラヤの奥深くにいるという現実感は薄れていく。
想像していたよりも、ロッジが整備されているから?
いや、単純に帰りの道のりの長さから現実逃避しているだけかもしれない。


朝、5時半。ダウンジャケットを着込み部屋を出る。
空は雲ひとつない。丘に登り、かすかに明るくなり始めた東の空とマチャプチャレを眺めた。
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満月の下、悠然と聳え立つアンナプルナサウスとアンナプルナI峰。
時折、「ドーン」と雪崩の音が聞こえてくる以外は無音のアンナプルナB.C。呼吸をするのを忘れてしまうくらい圧倒的な空間が広がり、この場所がサンクチュアリーと呼ばれていることを改めて理解する。
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6時過ぎ、最も標高が高いアンナプルナI峰を朝日が照らし始めた。
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そしてアンナプルナサウスにも太陽の光が届き始める。
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ベースキャンプを取り囲む山が次々と黄金色に染まり、周囲は神々しい輝きに包まれた。
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8時近くになると、太陽がマチャプチャレの背後から顔をのぞかせるようになり、ベースキャンプ周辺もすっかり明るくなった。空は突き抜けるような青さで、ここが標高が高いということを教えてくれる。
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8時半、アンナプルナB.Cを出発。後ろ髪を引かれるように、何度も後ろを振り返りながら歩みを進める。おそらく再び訪れることはない場所。忘れないようにこの景色を頭に焼き付けておこう。
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そして一度きりのチャンスに雲ひとつない、とびっきりの晴天を用意してくれた山の神様に感謝。
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マチャプチャレB.Cまで下りてくると、モコモコな羊たちは時が止まったかのように、昨日と同じ場所で群れを作り寝そべっていた。
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羊たちは昨日と同じ。でも僕の足取りはまったく違う!
喘ぎながら登っていたのが信じられないくらいルンルン気分で下り、マチャプチャレB.Cから1時間半かかった道を40分で通過。休憩なしでデオワリまで直行する。
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デオワリ近くまで下りてくると、アンナプルナは手前の山に隠れて見ることができない。それでも背後には綺麗なグレイシャードームの雄姿が広がっている。きっと、昨日も真正面に見えていたはずの景色。いかに心の余裕がないまま登り続けていたかを再認識した。
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「ホント、よく登ってきました」急な斜度の坂を下りながらしみじみと思う。
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デオワリで15分の小休止。コーヒーを飲んだ後、すぐに移動を再開。ヒマラヤホテルは素通りし、ドバンでお昼ご飯。とにかく下りは早く3時間半でバンブーの手前まで戻ってきてしまった。
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ドバンからバンブー間も30分ほど。下り坂一辺倒で足の負担も相当なハズなのに気分が高揚しているからか驚くほど足取りは軽い。
けれども、バンブーから先は試練が待っている。グルディガルまで続く石段と登り坂。行きに通っているので、その長さは身を持って知っている…。
石段を数十段登り始めるとすぐに足取りは重くなり、シヌワの集落を視界に入ることだけをひたすら願い続けた。

そして15時過ぎ、目的地のシヌワに到着。対岸に見えるチョムロンが大きな町に見えたのは、山深くから戻ってきたからだろうか。2日ぶりにホットシャワーを浴びたら夕飯まで横になる。風が通り抜けて心地いい〜。
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今夜は流しで集落を廻っているグルン族が民族ダンスを披露してくれるらしい。
宿の前が即興のステージとなり、音楽に合わせて大人も子供も入れ替わり立ち替り踊っていく。最後はトレッカーも混じって、みんな一緒にダンスタイム。トレッキングの終盤にふさわしい夜は、徐々に更けていった。
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明日はのんびり出発してジヌーまでの短距離トレッキング。そして明後日はポカラまで戻る予定だ。

今日の歩行距離、A.B.C→Sinuwa:14キロ 標高差:4130メートル→2360メートル

★トレッキングメモ★
・バッテリーチャージは有料と聞いていたが、共有スペースでの充電に関しては、チャージ料金は求められなかった。